最近では都内の喫煙所も減りましたが、喫煙所で他社のドライバーと会話することもよくある光景です。
ある日、初老と言っては失礼かもしれないけれど僕より全然ベテランの、最近同じ系列に加わったタクシー会社のドライバーと喫煙所で話す事があり、そこで聞いた話です。
定額4,500円で行け、ルートも言わない無線での客
そのドライバーは、私の会社も加わっている系列の無線配車への愚痴を話した後、こんな事があったと話をしてくれました。
それは、港区のある場所にて無線で呼ばれ、乗ってきた客。
練馬区のある場所が行先だと言うが、いつも4,500円以内で行っているのでそれで行ってくれという。ルートを聞いても言わない。4,500円以内で行ってくれとしか言わない。
その金額を超えたらどうするのかと聞くと、それ以上はかからないはずだから、超えた分は払わないと言い張る。
その辺はベテランドライバー、どう考えても4,500円では行けないと思って、繰り返しルートを確認するが、どうしてもルートを言わない。
その時そのドライバーは、これは確信犯かもしれないとその時に思ったそうだ。
つまり、到着して最初に言った金額より高くなれば、そんなにかかるはずはない、お前が遠回りの道を使ったからだと言い張り、無理やり値切らせるという料金踏み倒し。よくある手口だ。
ルートを言わないからと言って、走りださないわけには行かない、断れば乗車拒否として、タクシーセンターから違反と見なされてしまう。
結局は泣き寝入りすることに
行ってみたら悪い予感は的中し、5,700円。もう、言い合いになるのも面倒だし、4,500円を受け取ってさっさと降りてもらったそうです。
金額を払わない場合は無賃乗車なので、そんなの警察呼んで対応してもらえばいいじゃないか、という声が聞こえてきそうだが、そうもいかないのがタクシー運転手という仕事である。
警察を呼んで事情を話し、警察や会社とのやり取りをしていたら、30分、いや1時間以上はかかるかもしれない。その間に仕事をすれば、数千円売上が得られると思うと、千円ちょっとの自腹になろうと泣き寝入りした方が得だし、気が楽なのです。
それが深夜1時や2時であればなおさら、深夜の仕事は遠距離も多く深夜割増も加わり、客単価も高いわけだから、時間をつぶしていてはいられない。
そうやって、味を占めた寸借詐欺まがいの確信犯は、繰り返して同じような事をするのでしょう。
そのドライバーは腹の虫がおさまらず、後で無線室に事情を話し、たまたま話のわかる無線室の担当者だったからかもしれないが、「そのような客は無線室としても許さない、その客には今後配車しない」と言われ、話は終わったようです。
でも、足りない料金はどうするかというと、自腹なのです。ごく一部の例外はありますが、メーターに上がった料金は、ドライバーが納金しなければならないのです。
納得いかないこともありますけどね、、、これがこういう仕事。「これだけやったらこれだけ貰える」、「足りない分は会社が何とかしろ」ってサラリーマン的な考えだとやってられないかもしれません。
無賃乗車は結構ある
トラブルで時間を無駄にしたくなく、その時の損失を、その後の営業時間が削られる機会損失を天秤にかけて泣き寝入りするドライバーは多く、そのようなドライバー心理を逆手にとっている悪質な手口。許せんなぁ
著者プロフィール
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タクシー運転手歴4年。
元システムエンジニア。
とにかく運転が好きで、試験場の飛び込みで二種免許を取得。その後家族の不幸があり、右往左往していたらいつの間にかタクシー運転手。こんな楽しい仕事があったのかと思っていたら、コロナ禍で苦戦中。
私生活ブログ https://orangekenji.blogspot.com/
仕事効率化等 https://orangekenji.com/
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