路地で警官が待機しているのはなぜ?

市街地の路地で、警官が立っていたり、白バイが待機しているのを見たことはあるでしょうか?

こんなところで何しているのだろうと思う時もあります。

これは交通違反の取締りをしているのです。

「止まれ」は赤信号と一時停止だけではない

信号機の無い横断歩道では、横断しようとしている歩行者がいたら、車は止まって歩行者に道を譲らなければなりません。

教習所では、このように教わったはずです。

渡ろうとしている歩行者が横断歩道にいたら、赤信号と同じと思って止まらないとならないのです。渡ろうとしていた歩行者の前を通過して、歩行者が後ろで横断を始めたら、それは歩行者妨害で違反を取られる事になります。

しかし、止まらない車が多く、これで違反をとられるとは思っていないドライバーも多いかもしれません。

しかし近年、この取り締まりが強化されているようです。

交差点での違反の取締りとして、一時停止がありますが、歩行者妨害については都心から少し離れた地域ではあまり意識されていないような気がします。

私の住んでいる地域では、横断歩道に立っていても、止まってくれる車は皆無です。バスがやっと止まってくれるくらいです。

市街地の交差点での取締りが厳しくなっている

地方から都心に出てくるドライバーは注意が必要です。

各警察では、取締り情報が公開されており、その中では歩行者妨害の取締りが行われていることがわかります。

>警視庁 公開交通取締り

実際に、私の仲間でも歩行者妨害で切符を切られたドライバーがいます。

昼間の銀座、中央通りと昭和通りに挟まれた街路の交差点で、白バイが待機しているのはよく見かけます。これは明らかに歩行者妨害に目を光らせています。

白バイでなくても、なんでこんなところでという場所に警官が立っている事がありますが、そういうのは歩行者妨害や一時停止違反、右折禁止違反を取り締まっています。

取り締まる警察に悪態をつく輩もいますが、取締りがあるのには理由があります。

街中の「信号の無い交差点」での事故がとても多いからです。

人身事故の半分近くは交差点で発生していて、交差点は事故の可能性が高い箇所とされています。

さらに交差点事故の60%以上、その死亡事故の半分以上が「信号のない交差点」で発生していて、その「信号がない交差点」での事故の4分の3は「市街地」だということです。

取締りには理由があり、死亡事故を防ぐためという事に行きつきます。

タクシー運転手も、市街地での交差点の運転には慎重にならざるを得ないのです。

違反を強要する客は最悪

タクシーの利用客の中には、信号が赤に変わりそうなのに、「なんで止まるんだ」などと平気で言ってくるお客様がいます。

そうなるともはや「お客様」でも無いのですが…

ある事例では、一時停止で一時停止しながら進行していたら、

「なにノロノロ走っているんだ、いちいち止まるな」

と言い出し、クレームにまで発展したそうです。

交通違反の強要をしているのは客の方なのに、その客がタクシー会社にクレームするという、稀なケースではありますが、めちゃくちゃな事が起こっているのです。

そのような、「急げ」「止まるな」という交通違反の運行を強要するような客は直ちに有罪になればいいのに、と常々思っています。

通常のタクシー事業者の運送約款では、「安全が確保できない場合は、運行を中止する」という事が謳われています。

「安全な運行ができないので、ここで運行を中止します。降りてください」

と言えばよいのです。

しかし、そのように毅然と対応できるタクシー運転手は稀だと思います。

途中で運行を中止しても料金をその客に請求するのも難しく、その運行が運転手の自腹になってしまう事を考えれば、じっと我慢になってしまうのです。

そして、そのようなお客様はまた同じことをタクシーの車内で繰り返すことになります。

車内の出来事は、ドライブレコーダーに全部記録されています。動画が一般に流出することはまず無いですが、何人もの関係者のおじさんたちに見られる事になりますので、あんまりタクシー車内で無茶な事は言わない方がいいですね。

著者プロフィール

霞 賢二
霞 賢二週刊運転手 編集長
タクシー運転手歴4年。
元システムエンジニア。
とにかく運転が好きで、試験場の飛び込みで二種免許を取得。その後家族の不幸があり、右往左往していたらいつの間にかタクシー運転手。こんな楽しい仕事があったのかと思っていたら、コロナ禍で苦戦中。

私生活ブログ https://orangekenji.blogspot.com/
仕事効率化等 https://orangekenji.com/