タクシー運転手の給料はどう決まるのか

歩合給

タクシー運転手の給料は、多くの場合歩合給になります。固定給の会社もあるのかもしれませんが、その場合も一定の売上を達成しなければ給料が引かれるになるはずで、実質的には歩合給と言えます。ドライバーは一度出庫してしまえば、上司の監督の無い場所で仕事をすることになります。休憩の仕方も自由ですし、お客様のいない場所で流し続けていても時間になれば帰ってきて仕事が終わることになります。ドライバーに限らず、外回りの営業職でも同じことが言えると思うのですが、成果に比例して給料を支払うようにするのが合理的なのでしょうね。

歩率(税抜きの売り上げに歩率をかけたものが賃金)

売上に対して、どれだけの給料が支払われるかは、会社ごとに割合が取り決められています。それを歩率(ぶりつ)と言います。50%~60%で設定されていることが多いと思いますが、売上が多くなるほど歩率も上がる会社もありますし、売り上げに関係なく歩率は60%という会社もあります。

歩率の決め方は、その会社の営業に対する考えが最も表れる部分かもしれません。

図は、売上によって歩率が変わる場合の歩率をグラフにしたもの。筆者の会社がこのタイプになっています。

最低歩率52%が、売上48万円からだんだんと上がり、最高64%になります。

この最高歩率になる売上80万以上をドライバーは目指します。

次の図は、給料の支給額がどうなるかをグラフにしてみました。

売上48万から上にカーブしていくと思いましたが、グラフにしてみると直線的に見えます。もっと急激なカーブを期待していましたがそうでもありませんでした。

一般的なタクシー運転手の給料はどれくらいになるか

上のグラフの歩率だと。1出番の平均売上が5万だとして、5万×12出番=60万

60万×歩率約58%=34万8千円

だいたい平均的なドライバーはこれくらいの給料に落ち着くと考えていただければ良いと思います。

平均5万円(消費税抜き)以上が、1回の出番で目安となる営収です。会社としても売上5万を目標のラインにしていることが多いと思います。

給料日に早速乾杯

歩合給以外の手当

会社によって、手当が加えられる場合があります。

無事故無違反手当や精勤手当など会社によってまちまちですが、決められている場合はあります。事故や安全運転の規定をクリアして手当が出る事もありますし、欠勤や遅刻、早退なく仕事をすれば、歩率が数%上乗せなんていうのもあるかもしれません。

事故や当日になってからの欠勤は稼働率の低下に直結するもので、会社の収益に影響を与えます。会社としては、そういった事には正直なところペナルティーを与えたいのです。しかし、ペナルティーとして給料から罰金を差し引くというのは、労使の取り決めも必要だったりするので、会社の規定として罰金を取り決めるのはあまり好まれない傾向があるのでしょう。そのため、無事故手当や精勤手当を与えるという事で対応しているのだと思います。

ペナルティーとして引かれるよりも、がんばった場合に手当がもらえる方が気分が良いですよね。

差し引かれるものもある

手数料などで別途差し引かれるものもあります。

やけに高い歩率だけれど、いろいろな手数料を差し引くとほかの会社とそんなに変わらない給料だったという事もありますので、気を付けるべきところです。

現金以外の決済方法での決済手数料

クレジットカードやスイカなどの交通系IC、そのほかの電子マネーは、決済手数料を料金受け取り側が払う仕組みになっています。つまりクレジットカードや交通系ICカードなど現金以外の支払方法でタクシーの料金が支払われた場合、決済手数料を、会社側が負担しています。

そういった決済手数料を運転手に負担させる会社もあるようです。現金以外の売上の数パーセントを、給料から引かれる場合もあるので、実質的に歩率がさがるのと同じことになります。

ETC料金(帰りの高速料金)

他県にお客様をお送りしたとき、高速道路などの有料道路を使うことが多いです。実車の時に払った高速料金はお客様が払うことになりますが、空車で都内に帰ってくるときに使った高速料金はどうなるでしょうか。

帰りの高速代は会社が負担することが多いと思いますが、どこまで会社で負担してくれるかは、会社によって規定されていて、それぞれ違います。

営業エリアに隣接している場所から都内に入るのに高速を使った場合は、会社は負担しない事が普通でしょう。

早く銀座で営業したいという事から、用賀から霞が関まで高速を使って戻ってきたとしたら、多くの場合、高速料金はドライバーが負担することになります。こういうのを自腹というのですが、営業戦略として自腹高速を使うのはよくあることです。

自腹の高速料金は、納金時にETC料金分を納金する場合が多いと思います。しかし中には納金時ではなく、給料の支払で清算する会社もあるかもしれません。

歩率だけでは判断できない事も

それぞれの会社で、ドライバー負担の費用についての取り決めがあります。中には歩率55%とだけ聞かされていて、未収金決済の手数料を控除されるなど、実質的に歩率を下げる要素があるのに、そのことが会社に入ってからわかるという事もありえます。

入社前の面接で聞かなかったから教えなかった、というスタンスの会社も普通にあるので、納得するまで確認しておきたいポイントです。

このように歩率での計算以外に、手当が足されたり、手数料が引かれたりするので、歩率だけで給料が良い安いを判断できないというのが実際です。