タクシー運転手の一日

2日にわたって仕事をするのが隔日勤務

タクシー運転手の働きかたは、隔日勤務を月に12回というのが主流です。隔日勤務とは、文字通り1日おきに勤務する形態の働きかたです。法令では、13回までの出番が認められていて、たくさん働きたいというドライバーは「公出」といって、規定の12出番に1出番追加することができる会社もあります。

連続勤務は6回までという制限もあります。公出をするとどうしても連続勤務になるので、6出番になるように調整が必要になってきます。

隔日勤務では、1回の勤務は21時間が限度となっており、次の勤務までは20時間以上の休息時間が必要となります。朝7時に勤務を始めたら、翌朝4時までに勤務を終えることになります。仕事が終わった日は丸一日休息時間となります。

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参考記事 タクシー運転者の「改善基準」のポイント|厚生労働省静岡労働局

一日の流れ

点呼

出庫前には、運行管理者による対面での点呼が法律で義務付けられています。

  • アルコール検知器による飲酒のチェック
  • 睡眠は十分か、健康状態に異常はないかの報告

の2点は重要な確認事項です。

また、点呼前に乗務員が自分で車両の点検を行い、点呼にて車両に異常が無いかの報告もします。

会社によっては、車両の点検を点呼の後に行うなど、手順が違う場合もあります。

出庫

運行管理者から受け取った乗務員証やETCカードを受け取って出庫します。

仕事

タクシーの仕事は、道にいる人が手を上げたら止まって、乗車いただいて、お客様が行きたいところまで行って、お金をいただくだけの簡単な仕事です。

簡単な仕事ではありますが、接客業であることを忘れず、ルールを守って仕事を行わなければなりません。

停止前の安全確認に始まり、お客様に行き先とコースの確認を行い、安全確認をして進行。メーターを実車にして到着したら、停止場所の確認、そして決済をおこなって降車いただく、というように、意外とオペレーションが多いです。決済方法もクレジットからICカード、チケットやQRコードなど多岐にわたります。慣れるまでは売上よりも、一つ一つの動作を覚えることに専念した方がよいでしょう。

基本的にどこで仕事をするかは運転手に任せられています。初めはどこで仕事をすればよいか分からず、やみくもにタクシーを走らせることになると思いますが、だんだんとお客様の乗る場所や地域が分かるようになると思います。

休憩

1回の乗務で3時間の休憩をとる事が法律で決められています。メーターに休憩時間が記録されるので、休憩が足りないと会社から指導されます。計画的に休憩をとるようにしましょう。休憩時間が多すぎるのも良くないですね。

帰庫

点呼の時間から、19時間で回送にして車庫に帰ることとしている会社が一般的だと思います。タクシーの仕事では、お客様が乗るまで送り先が分からない事がほとんどです。ギリギリまで営業をして、最後のお客様の行先が遠方だと制限時間内に車庫に帰れなくなるため、余裕をもった時間配分を社内ルールにしているという事だと思います。

この制限時間については、1出番の制限時間に加えて、ひと月の労働時間の制限もあります。帰庫時間をオーバーする日が何日かあると、その月の出番を止められる事があります。

超過勤務については厳しい世界ですね。(会社にもよりますが…)

洗車

洗車は大事な仕事の一つです。

車庫に帰ってから洗車します。納金前に洗車を済ますか、納金後に洗車をするかは、会社によって異なるかもしれません。

都内には、タクシー向けの洗車屋さんが多数あります。そういった洗車屋さんは、深夜1時くらいから開店して、お昼くらいまで営業しています。1回千円程度、15分くらいで洗車してくれます。帰庫する前に洗車屋さんで洗車してから帰庫するドライバーも多いです。

中には洗車屋さんで洗車する事を禁止しているタクシー会社があると聞いたことがあります。

帰庫点呼と納金

メーターを締めて、事務所に戻ります。

帰庫時にも点呼が法律で義務付けられています。アルコールチェックを行い、実際の道路状況や異常がなかったか等を、運行管理者に直接報告します。

納金を行い、日報を提出してその日の勤務は終了です。

お疲れさまでした。

昼間だけ、夜だけの働きかたもある|日勤

ここまでは隔日勤務の仕事の流れを説明いたしました。

勤務形態は隔日勤務が主流ですが、昼間だけの昼日勤、夜だけの夜勤もあります。

日勤では、ひと月に24回の出番が通常で、「公出」を入れて26回まで乗務することができます。

日勤は週5~6日働くことになります。隔日勤務よりも日勤の方が労働時間が長くなるため、しっかりやれば日勤の方が稼げるという印象があります。

「ナイト」と言われるのが日勤夜勤です。夜間は長距離客の割合が多いのと、深夜割増があるので、タクシーで最も稼げる勤務形態と言われていました。

しかし、コロナ禍で夜間のお客様も激減して、ナイトは苦戦しているはずです。

アルバイトで働くことも|定時制

雇用形態は基本的に正社員ですが、勤務日数の少ない「定時制」と言われる非正規雇用(アルバイト)もあります。

雇用形態も、働く時間、時間帯も会社によって様々な形があり、自分にあった仕事の仕方が選べるといえるでしょう。

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